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キャズムの一般のモノへも適用できるのか?

2020年11月27日

こんにちは、カティサークの押切孝雄です。

本日は、キャズムと一般のものへの適用というテーマです。
キャズムと言う理論があります。

デジタル機器が普及する時に、普及率16%を超えると、一気に広まるというものです。
たしかに、2007年にiPhoneが発売されて、
スマートフォン市場ができて、広まってきました。

すぐに飛びついた人もいれば、周りの人が持ち始めてから購入した人もいるでしょう。
すぐに購入した人は、イノベーターや、アーリーアダプターです。

キャズムは、一般的に広がっていくまでに谷(キャズム)があり、そこを超えると一気に進んでいくというものです。
これは電子機器に限ったことでしょうか?

しかし、デジタル機器に限定された現象ではないように思われます。

たとえば、近年の現象としてビジネスリュックがあります。
今、東京で街を歩いていると、5割位のビジネスマンが、
手提げバックではなくリュックを背負っています。

スーツにリュックは、ファッション上、格好悪いと思われてきました。
ただし、本当は、片手で持つ手提げバッグよりも、リュックの方が安定性があり、
体のバランスを崩すこともなく、両手も空きますので、
良いことが多いです。

多くの人がリュック背負いたいと思っていても、
なかなか仕事で通勤するときなどに背負う人はありませんでした。

リュック自体は100年以上前からありますし、
そこに、革新的な技術が加えられたわけではありませんが、
現象として、このたった数年で一気に広がってきました。

今、東京で、スーツにリュックサックといういでたちで街を歩いても、
あまり変な感じなくなりました。

それは、多くの人がスーツにリュックなので、違和感がないのですね。

たとえば、ノースフェイスが専用のビジネスリュックを発売するなど、多くのメーカーで対応してきています。
色は、黒です。
ビジネス向けでは、黒以外だと、2020年の現在でも、ちょっと違和感があります。

商品も、ビジネスマン向けに、薄めで、かつてほど変ではなくなってきました。
ただ、まだおしゃれという感じがするものは多くはありませんが。

キャズムは、電子機器には当てはまりますが、ビジネスリュックといった旧来からあるアイテムでも、当てはまります。
ただ、この場合、何かリュック自体に技術的な革新があったわけではありません。

それでは、何が変わったのか?
それは我々ビジネスマンの意識が変わったのですね。

それでは、我々ビジネスマンの意識を変えたものとは何だったのか?

意識を変えるには、通常は、旗振り役がいます。

たとえば、ネクタイをするビジネスマンは、この10年でぐっと減りました。
それは、もともとは政府のクールビズの政策が深く関与しています。
それにより、夏だけでなく、冬でもネクタイをしないビジネスマンが、社会的に容認されてきています。

ただ、ビジネスリュックは、政府が奨励したわけでも、メディアが大々的に取り上げたわけでもないです。

では、なぜか?
1つは、メーカーの努力はあります。
ビジネスでかっこ悪くないビジネスリュックの開発です。
ビジネスマン向けに開発された、たいへん機能的なものもあります。
ただ、それだけでは、決定的とはいえません。

私は、ビジネスマンの集合的無意識に作用したのだと考えています。
私含め、多くのビジネスマンは、
片手で持つ手提げバッグ(書類が重いので片手でもっていると身体のバランスを崩す)よりも、
小学生の頃のランドセルから親しんできたリュック型の方が身体に良いことを体感してきました。

その受け入れる前提があって、メーカーの開発があり、
少しずつ、ビジネスマンに受け入れられていき、キャズムを超えた段階で、一気に普及が進んできたといえます。

実は、私も今年になってからビジネスリュックを背負い始めておりますが、
まわりも背負っているため、かつてほど恥ずかしさを感じなくなってます。

キャズムは、電子機器の普及だけでなく、一般のモノへでも適用できる。
そして、一度人々のマインドが変われば、それが、ずっと前からそうであったかのように当たり前のものになると言えます。