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池袋「好日山荘」は、体験型へ舵を切った

2017年09月10日

こんにちは、カティサークの押切孝雄です。

先日のブログで、流動する消費者(ムービングターゲット)に対応している事例として、
池袋マルイの対応力を紹介しました。

その時に、もう1店舗秀逸な店舗があると言っていましたので、
本日は、マーケティング的にとても興味深い、その店舗を紹介します。

丸井のすぐ近くの「好日山荘」という登山者向けのお店です。
池袋で長いこと営業しています。
ビルの1階と2階に入っている店舗です。

近くにエルブレス(L-Breath)という競合店があります。
L-Breathの方がお店が売り場面積が圧倒的に広いです。

6階まであるフロアまるまるL-Breathなので、
売り場面積にして、3倍以上あると思います。

L-Breathは、アウトドア一般なので、山の道具専門ではなく
自転車(バイク)も、スイミング用品も売っています。

すると、どうしても総合力で負けてしまいますね。
ある時「好日山荘」がお店を一時閉店しました。

一時閉店前の好日山荘は、大賑わいとはいえなかったので、
このまま閉店してしまうのかと心配したのですが、

その後、2017年にお店をリニューアルオープンしました。

山の道具を売る面積を半分くらいに縮小しました。
そして、あとの半分を何にしたと思います?

ボルダリングのジムです。
ボルダリングは、若い人中心に人気で、
池袋駅からすぐの立地なので、にぎわっています。

物販だけだったら、リアル店舗同士の競争ではなくて、ネット通販との競争にもなるので、
リアル店舗は価格競争で、なかなか勝てません。

そこで、ボルダリングという体験型の施設にすることで、ネット通販には絶対にできないユーザ体験を提供したんです。
さらに、池袋はターミナル駅なので、仕事の帰りとか、乗り換えで使っている人にはとても都合の良い立地と言えます。
つまり、商圏が広いんです。

さらに、営業時間も思い切って見直しています。
通常商業施設は、10時(または11時から)20時(または21時まで)というところが多いのですが、
「好日山荘」では、平日は13時から22時にしています。

午前中の時間帯は切るという決断をしたのですね。
その分、夜10時までの営業にして、サラリーマンやOLなど仕事帰りにボルダリングする顧客を取り込んでいます。

また、営業時間が9時間なので、店員さんの勤務時間にも好都合です。
スタッフのシフトや人件費の観点からも、良い決断だと思います。

前のブログで紹介した丸井のような時代のその半歩先を見越して先手先手でかじを切ってくる企業も優れた企業です。

また、好日山荘のように、物販から、体験型の施設に、
本業とシナジーを生むように変えてくる企業もまた、優れた企業と言えます。

変わらない良さもありますが、変わることで時代に対応するということもあります。
時代の変化を的確につかんで変わっていく。
こうった企業から目が離せません。

池袋にはとても魅力的な店舗がたくさんあります。
また、どこかのタイミングで良質な店舗のマーケティング戦略について書いてみたいと思います。