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ニューノーマルマーケティング02:企業の対応と挑戦

2020年05月23日

こんにちは、カティサークの押切孝雄です。

コロナを体験することで企業のマーケティングが激変しました。
何がどのように変わったのでしょうか?

本日はコロナ下で挑戦をつづける企業をパターン分けしつつ、象徴的な事例を複数見ていきたいと思います。

技術資産の転用・進化

◆酒造メーカー→アルコール77(消毒にも使えるアルコールを製造)
◆帆布メーカー→スピーネーカーガウン(医療用ガウン製造)

図の右上の第1象限を見てください。
もともとある技術や場所等の資産と、それらのサービスを転用進化させたパターンです。
これは、たとえば「アルコールの77」が代表例です。
高知の菊水酒造が発売したアルコールですね。
酒造メーカーがアルコール除菌剤としても利用できる商品を発売するということで、WEBニュースなどでもひときわ注目されました。

これらは企業の対応がとても早いばかりでなくどのようにしたら困っている人たちを助けられるかという姿勢が分かります。
その後、多くの酒造メーカーにも同様の動きが見られました。
企業のコロナ対応・進化として模範的なパターンといえます。

また、帆布メーカーの「ノーセールジャパン」が、「スピネーカーガウン」という医療用ガウンを製造販売をはじめました。これも帆布という素材を転用・進化させたパターンといえます。

場所資産の転用・進化

◆APAホテル→リモートワーク向けの客室の貸し出し
◆TKP→リモートオフィス
◆串カツ田中→店先で野菜セットの販売

続いて、場所資産の転用・進化です。
APAホテルが、リモートワーク向けにホテルの客室を4泊5日で1万5000円から提供をしています。
多くのビジネスマンは、家でリモートワークを強いられているわけですが、子供がいたり、書斎がなかったりすると、なかなか自宅で集中して仕事をすることが難しいです。
その問題を解決してくれるサービスです。
インバウンドの海外からの観光客や、出張が大幅に減っていて、ホテル需要が急減していますので、困っているリモートワークビジネスマンを助け、空いた客室を有効に活用する方策ですね。

また、貸し会議室のTKPが、リモートワーク用に1人から使えるサテライトオフィスの提供を開始しています。
貸し会議室は、大勢の人が集まるカンファレンスが軒並み中止や延期を余儀なくされている中ですので、
うまく転用・進化させた事例といえます。

場所という資産を、どのようにして現状にフィットするように転化するかという点で、果敢に動いた企業ですね。

さらに串カツ田中ですが、店内での飲食が、午後8時までに自粛を要請された中、店先という場所を最大限に活用する戦術をとっています。
串カツのテイクアウト販売だけでなく、野菜セット1500円などを店頭の場所にて売っています。
もともとお店がある場所は人通りがある場所ですから、場所という資産を活用し、売り物を少し変えている事例といえます。

コンテンツ資産の転用・進化

図の右下の第4象限を見ていきましょう。

◆東進ハイスクール→非会員へコンテンツを無料開放(期間限定)
◆学研→コンテンツを無料開放(期間限定)

これまでの資産をそのまま活用するという軸と、もともとある資産(技術や、モノや、場所)との関連が強い軸です。
「東進ハイスクール」や「学研」などのコンテンツ・サービス企業が該当します。
現在、WEBで登録をすると、無料にてコンテンツが見られます。

これまで会員でなかった人にコンテンツをオープンにしますので、従来から行っているサービスの延長線として提供できます。
ユーザーにとって見れば、大きなお試し期間ともなります。
これまで有料のサービスが無料となりますから、そして期間限定となりますので多くのユーザを集めます。
たしかに無料ですが、それをきっかけにそのサービスの良さを知り有料会員になることはおおいにあります。
フリーミアムのパターンといえます。

人的資産の転用・進化

最後に左上の第2象限を見ていきましょう。

◆居酒屋→手作りマスクを製造

元々ある技術やモノ、場所とは関係が薄いが、サービスを提供している象限です。

これまでおこなってきた事業と全く違うサービスを提供している企業があります。
たとえば、居酒屋がマスクを手製し、それを販売するというものです。
これはもともと居酒屋が持っていたノウハウや場所は関係ありません。
しかし居酒屋に勤めていた人はいますので、人的資産を活用してマスクというその時点で最も求められている物を生産し提供するということです。

ニューノーマル時代のマーケティングまとめ

コロナウイルスによる自粛を機に、多くの企業がそれぞれのやり方で舵を切っています。
たしかに、これまでのやり方で売上が急減するなど、ピンチなのですが、
困っている人を助ける方法を考えて、そこに解決策としてサービスを提供すると、
逆にチャンスになるという事例を挙げました。

まだまだ混迷を深めるコロナウイルス下ではありますが、ニューノーマル時代のマーケティングは、
「情けは人の為ならず」で、人のためにかけた情けは、回り回って自社(自分)に返ってきます。

どうしたら自社の持つ資産(技術・モノ・場所など)を活用して、他者(他社)を助けられるかと考えると、その糸口が見つかると思います。

もしあなたの会社でそんなアイデアや取り組みがあれば、ぜひお知らせください。