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【旅中】4つ星ホテル編:観光デジタルマーケティング10

2018年11月20日

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(↑ クラビのバンサイナイ リゾート)

こんにちは、カティサークの押切孝雄です。

前回、5つ星ホテルのデュシタニ クラビリゾートを取り上げました。
5つ星ホテルの宿泊体験が良いというのはある意味で当たり前です。

今回取り上げるのは、4つ星ホテルながら、
(5つ星ホテルを退けて)トリップアドバイザーでエリア1位を取ったホテルが
なぜ1位を獲り得たのか?
について書いてみたいと思います。

まず、トリップアドバイザーの評価システムについてですが、
実際に宿泊した人が感じる、実質的な価値に基づいているということです。

旅慣れている人からのレビューが多いため、
ホテル体験と価格とのバランスが良いホテル、
コストパフォーマンスが優れたホテルは評価が高くなる傾向があります。

そういう意味では、5つ星ホテルは、期待値がそもそも高いだけに、
滞在時にそれを上回る体験を提供するのは至難の業です。

それに対して、4つ星ホテルは、期待値が5つ星ホテルほど高くなく、
価格もこなれているため、トリップアドバイザーでの顧客満足度が高くなる傾向があります。

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(↑ 熱帯の植物のトンネルを超えて行ったところにコテージが現れる)

そんな前提がある中で、
バンサイナイ(ban sainai)は、施設・設備は5つ星ホテルではないですが、
それでも、期待を上回るホテルであったと思います。

下記はそのポイントです。
・クラビ独特の切り立った岸壁がきれいにみられるロケーション
・客室は全てコテージで独立している
・客室が広い(客室によるが120平米以上)
・池の上にバルコニーがあるなど特徴的なコテージもある
・よく手入れされた植栽・花
・サステナビリティを中心的価値に置いたホテル

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サステナビリティというところが、このホテルを魅力的なものにしています。
たとえば、
・連泊のときにタオル、シーツを過剰に交換しない
・シャンプー・ボディソープは、追加できるリフィル式
・朝食のビュッフェと、オーダーのバランス
・太陽光発電による夜間の照明
・ナチュラルな芳香(レモングラスをそのまま切ったもの)
・リユースのミネラルウォーターボトル
・使い捨てではないリユースできる室内履き

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( ↑ 朝食でオーダーした熱々のロティ )

朝食のビュッフェは、数多くの種類のパンやチーズ、ヨーグルトのようなものは好きなように取ります。
それで、あとのメインは注文方式です。
これは、熱々が食べられますし、注文したものは基本的に残さず食べますので、無駄にならないですね。

ビュッフェ形式は、大きなホテルですと、たしかに無駄になりにくいですが、
バンサイナイ程度の大きさの中規模のブテックホテルですと、
ビュッフェ形式では多く作りすぎたものは、取られずに余ってしまい、毎日廃棄がでてしまいます。
そういう意味でも、宿泊客にとっても作りたてが食べられて、廃棄も少なく、とても理にかなっています。

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また、庭の照明は、太陽光発電でした。

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部屋に入った時にレモングラスのやわらかな香りがしたのですが、
芳香剤は使わず、レモングラスを切ったものを利用していました。

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さらに、宿泊客用にミネラルウォーターが客室に用意されているのですが、
通常、500mlのペットボトルですね。

これは、5つ星ホテルでも、どこでもペットボトルです。
私が泊まった中では、はじめて、ガラス瓶のボトルでした。
これもガラス瓶は捨てずにリユースをするためです。

さらに言うと、客室に
「Save the world」という紙があり、過剰な消費を抑制する
ホテルとしてできることがさりげなく書かれています。

コトラーでいうと、マーケティング3.0的な価値観です。
大型ホテルではなく、宿泊客1人1人に手が届くブティックホテルだからできることかもしれませんが、
規模が小さくてもこういう戦い方をすることで、
宿泊客に支持され、人気のホテルになり、クラビで1位を獲得できるということを体現しています。

その上で、トリップアドバイザーに投稿するように促す紙が挟まっています。
トリップアドバイザーに投稿しやすいようにQRコード付きです。

ホテルでの体験が最も重要ですが、ホテルの方向性の表明と、WEBへの口コミの誘発もうまく調和させることで、評価を高めるということが可能だということを示しています。

観光デジタルマーケティング、次回は、レストラン編の予定です。